4月8日は花まつり。”仏教版のクリスマス”でお釈迦さまをお祝いしよう!
4月8日は花まつり。仏教の開祖であるお釈迦さまが生まれた日です。日本中のお寺では、お釈迦さまのご誕生を祝う「花まつり」が行われます。
マキノ祭典では、さまざまな宗派のお葬式をお手伝いしていますが、これらすべての宗派も、お釈迦さまがいなければ存在しなかったでしょう。
「花まつり」とはいったいどんなイベントなのか、くわしく解説いたします。
お釈迦さまのご生涯
お釈迦さまは紀元前6世紀に現在のネパールに生まれました。もともとは、ゴータマ・シッダールタという名を授かりましたが、「釈迦国」と呼ばれる国の王子様として生まれたことから、後世では「お釈迦さま」の名前で親しまれています。お釈迦さまの生涯は、王子としての贅沢な生活から始まり、真実と悟りを求める修行者へと変わる壮大な旅へと続きます。
お釈迦さまは生まれた直後に母親を亡くしますが、楽園のような宮殿で育ち、苦しみや痛みが存在しないようにと父親によって過保護に守られました。しかし、成人してから4つの出会い(病人、老人、死体、そして苦行を行う修行者)を経験し、人生において避けがたい「苦しみ」の存在を知り、大きなショックを受けます。
「どんな境遇の人であっても、人は必ず、老・病・死という苦しみを経験しなければいけないのか」
その苦しみからの解放を求めるようになり、お釈迦さまは出家を決意。29歳の時にお城と決別し、求道者としての人生を歩み始めました。
はじめは、かつてのインド社会にすでに存在していた修行者たちと同様に、自身の身体を痛めつける厳しい苦行に臨みましたが、6年間の苦行生活で悟りを開くことはできず、苦行をやめ、菩提樹の下で長い瞑想をし、悟りの境地に至ります。お釈迦さまが35歳の時のことです。
それ以降は、80歳で亡くなるまでの約45年間、自らの悟りを人々に説き続け、数多くの弟子を持つようになりました。お釈迦様の死後、その教えは口伝で伝えられ、のちに仏典としてまとめられ、今日にいたります。
お釈迦さまの教えとは
お釈迦さまの教えを、このコラムでお伝えするには、あまりに字数が足りませんし、筆者自身もどこまで把握しているかだなんて、分かりません。
しかし、それなりに要約してみますと…
お釈迦さまの教えは「苦しみからの解放」であり、そのためにはまず、苦しみの本質を知り、その解決策を知り、それを実践することが求められる
…と言えるのではないでしょうか。
「四苦八苦」ということばがありますが、この世界の真実として、次のような苦しみがあることをお釈迦さまは説いています。
- 生(生きることの辛さ)
- 老(老いへの恐れ)
- 病(病による痛み)
- 死(死ぬへの恐怖や不安)
- 愛別離苦(あいべつりく。愛する人との別れ)
- 怨憎会苦(おんぞうえく。嫌な相手と会うこと)
- 求不得苦(ぐふとくく。望むものが得られないこと)
- 五蘊盛苦(ごうんじょうく。心と体がままならないこと)
これらはすべて、求めるからこそ、それが得られないことに苦しみを感じるのです。元気でいたいからこそ老いや病が苦しいのであるし、好きな人とはずっと一緒にいたいからこそ、我かが辛いのです。
ですから、まずは、この世界はままならない(思い通りにいかない)ことばかりだということを知ること、そしてそれを心で受け入れて、日々の生活を営んでいくことで、苦しみが減退して、幸せで穏やかな日々がやって来るのだと、お釈迦さまは説いているのです。
花まつりは、お釈迦さまとのご縁を喜ぶ日
仏教は、2500年もの長い時間をかけて、アジア一帯に、そして世界に広がっていきました。時代や地域によって社会の状況もさまざまですから、その時や場所に適応する形でどんどんアップデートされていき、いまの仏教があります。
日本にもさまざまな宗派がありますが、求めるものはみな同じ。苦しみがなく、平穏に生きていけるための智慧や教えと出会うために、お寺という場所があり、お坊さんという人がいます。
そして、花まつりは宗派の垣根を超えて、あらゆるお寺で行われるお祝いのイベントです。
お釈迦さまは、生まれた直後に立ち上がって7歩歩き、右手で天を、左手で大地を指差したまま「天上天下唯我独尊(この世界に生きる誰もが尊い存在だ)」と言い放ったそうです。
もちろんそれは伝説のお話でしょうが、花まつりの日は、このかわいい子どものお釈迦さまのお像に、甘茶をかけて差し上げます。
そして、本堂では法要が営まれ、お寺によってはバザーやマルシェなど、さまざまなイベントを行うところもあるようです。
最近では、クリスマスのケーキにちなんで、ホットケーキ(仏のケーキ)や、カレーライス(インド発祥の食べ物)を食べようという取り組みも始まっています。
普段なかなか触れることのない仏教。それでも私たちの身の回りにたくさん存在している仏教。お葬式の時には必ずお世話になる仏さま。
あなたも、花まつりをきっかけに、お釈迦さまに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。手塚治虫の『ブッダ』を読むもよし、近くのお寺に行くもよし。2500年、幸せを祈りながら伝え続けられてきた人類の想いの結晶に触れられるかもしれませんよ。