「書く瞑想」——ストレス社会にこそ、写経のすすめ
秋が深まり、日が落ちるのも早くなりましたね。
そんな季節の変わり目、ふと「心が落ち着かないな」と感じることはありませんか?
スマホやニュース、仕事、人間関係……。
毎日が情報でいっぱいの今、頭も心も休む暇がない。
そんな方にこそおすすめしたいのが、「写経」です。
「写経」と聞くと、「お坊さんの修行」「達筆じゃないとできない」と思う方も多いかもしれません。
でも、実はどなたでも、自宅で、静かに、気軽にできる「書く瞑想」なんです。
●写経の科学的効果
●すぐにできる写経の始め方
●練馬区近郊で写経会を行っているお寺の紹介
…などなど、さまざまな角度から写経の魅力をご紹介いたします!
写経とは?——書きながら、心を整える
写経とは、その名のとおり「お経を書き写すこと」。
昔は、お釈迦さまの教えを広めるための尊い修行でした。
また、亡き人の供養や願い事の成就を祈って行われていました。
けれども、現代の写経は、それらに加えて…
「心を落ち着ける」
「自分を見つめる」
…そんな時間として、若い方からご年配の方まで、幅広く取り入れられているんです。
ペンや筆を持ち、一文字一文字に意識を向けて書く。
それだけで、自然と呼吸が深くなり、頭の中の雑念が静まっていく。
つまり、「書くことで心が整う瞑想」とも言えます。
写経は「祈り」——亡き人との心の対話にも
写経は、もともと祈りの行為でもあります。
「どうか元気でいてください」
「ありがとう」
「もう少し頑張れますように」
そんな言葉にできない思いを、書くという形で仏さまに届けるのが写経です。
お葬式を終えたあと、「亡きあの人にもう一度話しかけたい」と思うことがありますよね。
でも、電話も手紙も届かない相手。
そんなときこそ、写経が心の手紙になります。
書き終えた写経は、仏壇や写真の前にそっとお供えし、最後はお寺に納めます。
あなたの祈りは、亡き人に届き、その想いをやがて仏さまに委ねることができるのです。
科学的にも注目される写経の効果
写経による癒やし効果は、科学の世界からも注目されています。
Nintendo Switch『脳トレ』の監修者として知られる東北大学の川島隆太教授らの研究では、高齢者の脳活性化に役立つとされる160種類の作業(オセロ、はり絵、くるみ割り、あや取りなど)の中で、写経が最も脳の活性化に効果が高いことが分かったとされています。
写経は、脳の活性化と認知症予防や改善にもつながるのですね。
また、写経は精神の安定とストレスの解消に効果があることも実証されているそうです。
集中して文字を書くことで、脳内にベータ・エンドルフィンといった脳内物質が分泌され、思考をポジティブにし、精神を安定させる効果があるとも言われています。
一字一句丁寧に書き写すことで、集中力や忍耐力も養われますし、正しい姿勢で文字を書くため、姿勢の改善にもつながります。
しかも、書いている内容はお経です。
お経には慈悲にあふれる仏さまの世界が書かれています。
スマホやニュースに心がかき乱される日々の中で、
ペン先を見つめながら静かに書く時間は、仏さまの力を借りながら、心に空気を入れ替えるようなものです。
自宅でできる、かんたん写経のはじめ方
「やってみたいけど、何を準備すればいいの?」
そう思われた方も多いでしょう。
実は、道具はとてもシンプルです。
●筆ペン
●写経用紙
たったこれだけ。特別な道具はいりません。
お経は「般若心経」が定番ですが、「観音経」「正信偈」「坐禅和讃」など、宗派ごとに大切にされているお経を書くこともできます。
インターネット上でも、さまざまなお経の写経用紙が販売されているので、興味がある方は
ぜひ検索してみてください。
大切なのは、上手に書くことではなく、丁寧に書くこと。
書く前に、ほんの数秒でも手を合わせて深呼吸。
「いまここにいる自分」に意識を向けてみましょう。
10分でも構いません。
文字に集中するうちに、不思議と心が軽くなっているはずです。
写経会に参加してみよう!練馬周辺のおすすめのお寺
写経会を開催しているお寺も少なくありません。
まずはお寺に足を運んで写経をしてみるのもいいかもしれませんね。
練馬周辺では…
●観蔵院(練馬区南田中:真言宗)
●堀之内妙法寺(杉並区堀之内:日蓮宗)
●浄牧院(東久留米市大門町:曹洞宗)
…などで、定期的に写経会を行っています。
お寺の厳かな雰囲気の中で行う写経は、より心を清らかにしてくれますよ。
おわりに
写経は、忙しい現代人にとって、「書く瞑想」のような存在です。
たった数分、筆を持って一文字一文字に心を込めるだけで、
余計な思考が静まり、ゆるやかな時間が流れます。
もし最近、気持ちが落ち着かないなと思ったら
寝る前の5分、朝の10分でも構いません。
机の上で、静かに文字を書いてみてください。
書き終えたあとは、きっと心の中に、小さな安らぎの灯がともるはずです。
あなたの今日という一日が、やさしい静けさに包まれますように。