「自分の宗派が分からない」と困ったら。葬儀前に確認する4つの方法
「お葬式の打ち合わせが始まったけれど、自分の家の宗派が分からない……」
私たちが対応するお葬式のお客様の中でも、わが家の宗派が分からないとお悩みの方は実に多くいます。
普段はお寺とのお付き合いがないからこそ、いざお葬式の場面で困ってしまうものです。
でも、安心してください。この記事でご紹介するポイントを確認すれば、多くの場合はご自身の宗派を特定できます。
宗派が分からないとお困りの方は、どうぞ最後まで読み進めてみてください。
葬儀の直前に「宗派が分からない」のは、実は珍しくありません
どうして、「自分の宗派が分からない」という方が増えているのでしょうか。
実際位私たちのお客様でも、葬儀の打ち合わせの際に、「宗派が分からないため、葬儀の打ち合わせに時間がかかってしまった」「宗派を問わない僧侶をご紹介した」といったケースも少なくありません。
宗派が分からない状況に陥ってしまうのには、いくつかの切実な背景があります。
●お寺付き合いは「本家」任せだったから
これまでは実家の本家がすべてのお寺付き合いを取り仕切っており、自分たち家族にとっては今回が「はじめての葬儀」というケースです。法事の際にお参りはしていても、具体的な宗派名までは意識していなかった、という方は非常に多いものです。
●そもそもこれまでお寺との付き合いがなかった
都会での暮らしが長く、特定の菩提寺(ぼだいじ)を持たずに過ごされてきたご家庭も増えています。初詣や厄除けには行くけれど、葬儀や供養としての「宗派」については、いざその時を迎えるまで考える機会がなかったというのも、現代では自然なことです。
●お寺が遠方にあり、疎遠になっていた
故郷にお墓や先祖代々のお寺はあるものの、遠方のために何十年もお参りに行けていない場合です。代替わりが進む中で、お寺の名前や宗派の記憶が薄れてしまい、連絡先すら分からないという状況も少なくありません。
「自分の家のことなのに宗派が分からないだなんて……」と自分を責める必要はありません。まずは落ち着いて、一つずつ手がかりを探していけば大丈夫です。
次のセクションでは、宗派が分からない方向に、どこを確認すればよいか、誰に相談すればよいかをご紹介いたします。
宗派が分からない時の3つの確認場所
「どこから手をつければいいのか分からない」という方は、まず身近にある以下の3つを探してみてください。そこには必ず、宗派を特定するための重要なヒントが隠されています。
お仏壇を確認する
宗派によってお祀りする仏様が異なります。例えば、阿弥陀如来、釈迦如来、大日如来など、そのお姿や脇侍(両脇の掛け軸)の種類で宗派を推測できます。
●阿弥陀如来
天台宗、浄土宗、浄土真宗
●釈迦如来
天台宗、臨済宗、曹洞宗
●大日如来
真言宗
●法華曼荼羅
日蓮宗、法華宗
実際におうちのかたがこれらを見て宗派を判断するのは難しいので、写真に撮って、葬儀社や仏壇店に相談することをおすすめします。
位牌を確認する
ご先祖様の位牌には、宗派ごとの「作法」が色濃く反映されています。
位牌を見て宗派が特定できるものは以下の通りです。
●梵字「ア」
真言宗。大日如来を表します。
●梵字「キリク」
浄土宗。阿弥陀如来を表します。
●漢字の「空」や円相「〇」
主に禅宗(臨済宗、曹洞宗)で用いられます。
●漢字の「妙法」
日蓮宗や法華宗で用いられます。
●戒名の中に「誉」「譽」
浄土宗で用いられます。
●戒名の中に「日」「妙」
日蓮宗で用いられます。
●位牌がない。「釋〇〇」
浄土真宗には位牌がなく、過去帳や法名(と呼ばれる白い紙)に「釋〇〇」と書かれます。
位牌も仏壇と同様に、写真に撮って、葬儀社や仏壇店に相談して宗派を確定してもらうことをおすすめします。
お墓の場所を確認
実際にお墓を出向いてみることで、宗派を特定できる場合もあります。
●仏石に梵字の「ア」
大日如来。真言宗を表します。
●仏石に「南無阿弥陀仏」
浄土宗。または浄土真宗。
●仏石に「倶会一処」
浄土真宗
●仏石に「南無釈迦牟尼仏」
臨済宗または曹洞宗
●仏石に「妙法」「南無妙法蓮華経」
日蓮宗または法華宗
●「法名碑」がある
石塔の横に、戒名を刻むための「霊標」を置くケースが多いですが、そこに「法名碑」とかかれていたら浄土真宗であり、それぞれの法名も「釋〇〇」と刻まれているはずです。
●寺院墓地の場合、そのお寺の宗派を確認
もしもお墓がある場所が寺院墓地で、そのお寺が先祖代々の供養をしてくれているのなら、その宗派が正しいです。
お墓を見ただけでも宗派が分からない場合は、写真に撮って石材店に相談しましょう。
それでも宗派が分からない時の3つの相談先
身の回りの仏壇、位牌、お墓を見ても宗派が分からない場合は、次の3つの相談先をたずねてみましょう。
菩提寺に聞く
もし、先祖代々お世話になっているお寺の名前だけでも分かれば、直接お電話をして確認するのが最も確実です。
「〇〇の親戚の者ですが、失礼ながらこちらの宗派が分からないため……」と正直に伝えても、住職が気分を害することはありません。
お寺側も、現代において檀家が宗派を正確に把握していないケースには慣れています。お寺の名前さえ分かれば、そのお寺が属する宗派がそのまま答えになります。
親戚に聞いてみる
特に本家筋の親戚や、年配の親戚は、一族の宗派やルーツを詳しく知っている心強い味方です。
自分一人で悩まずに、「お葬式の準備で宗派が分からないのですが……」と尋ねてみてください。
「うちは〇〇宗の△△寺さんだよ」と即答してもらえるだけでなく、過去の葬儀の様子なども教えてもらえるかもしれません。
親戚間での認識を合わせておくことは、葬儀後のトラブルを防ぐことにも繋がります。
葬儀社にお葬式の履歴を確認してもらう
もし、過去にお葬式や法要を行ったことがあるなら、当時の施行記録を確認するのがスムーズです
葬儀社のデータには、「どの宗派のどのお寺を呼んだか」「戒名の構成はどうだったか」といった詳細な履歴が大切に保管されています。
数年前、あるいは十数年前の記録であっても、お名前やご住所からお調べできる場合があります。
どうしても宗派が分からない場合の「葬儀の進め方」
あらゆる手を尽くしても、どうしても宗派が特定できない場合や、お寺との縁が完全に切れてしまっている場合でも、葬儀を諦める必要はありません。
大切なのは形式を無理に合わせることではなく、故人様を尊厳を持って送り出すことです。宗派が分からない時には、主に2つの進め方があります。
●「無宗教葬(自由葬)」で送り出す
特定の宗派にこだわらず、宗教儀礼(読経など)を行わない「無宗教葬」という選択肢があります。
●葬儀社と提携するお寺を紹介してもらう
「宗派は分からないけれど、やはりお経をあげて供養してあげたい」というご要望も多くあります。その場合は、葬儀社に相談すれば、宗派を問わない僧侶を紹介してもらえます。
おわりに
「自分の家の宗派が分からない」というお悩みは、決して恥ずかしいことではなく、現代のご葬儀ではごく自然な戸惑いです。大切なのは形式を完璧に整えることよりも、故人様を尊厳を持って送り出したいというご家族の想いです。
もし調べても分からず迷ってしまったときは、一人で抱え込まずに私たちにご相談ください。状況に合わせた最適な進め方や、無宗教葬という選択肢など、後悔のないお見送りの形を一緒に見つけていきましょう。