お寺・ホカンス・お葬式。私が葬儀の世界に“最高のおもてなし”を見出すまで
こんにちは、マキノ祭典葬祭部の白戸千尋です。
私は現在、入社2年目の「ディレクター」として、お葬式の現場の運営を担当しています。
私がなぜ、葬儀の世界を志したのか。そこには、私の生い立ちや学生時代の経験が深く関わっています。
今日は、私のアイデンティティの根っこにあるお話しから、葬儀社で働くこととなった歩みについてお話をさせていただきます。
お寺が私のアイデンティティ
私は、川崎市で生まれ育ちました。
家族連れが多く、とても治安の良い賑やかな街ですが、私にはもう一つの「ホーム」がありました。それが、母方の実家であるお寺です。
祖母の家がお寺だったこともあり、幼い頃から母に連れられて元旦のご祈祷会に参加したり、法事で親戚が集まったりすることは、私にとってごく当たり前の日常でした。
本堂に入った瞬間にただよう、凛としたお香の香り。おじやいとこが、経本も見ずに諳んじるお経の響き。
日蓮宗のお寺だったこともあり、その本堂はとても豪華で、子供ながらに「特別な場所に来たんだな」と背筋が伸びるような思いがしたのを覚えています。
とても印象的だったのが、高校生の頃に祖母が亡くなった時のことです。
寺庭婦人(じていふじん:住職の妻を指すことば)の葬儀ということもあり、6人くらいのお坊さんが並び、朗々としたお経の合唱と楽器の音、参列者も大勢いて、それはそれは本当に立派なものでした。
これだけの人が集まり、みんなで盛大に送り出されるのを見て、「おばあちゃん、スゴっ!」と、儀式の凄みに圧倒されました。
それまでは当たり前すぎて気づかなかったけれど、お寺や仏教って、こんなにも大切な人の人生をあたたかく、力強く包み込んでくれるものなんだ。そう肌で感じた瞬間でした。
この時の「かっこいいな」という素朴な感動が、少しずつ、私を葬儀の世界へと導いてくれたのかもしれません。
コンビニバイトと「ホカンス」が教えてくれたこと
就職活動を控えた時期、私は自分の進む道を模索していました。
というのも、学生時代に近所のコンビニで3年間レジのアルバイトをしていましたが、日々の単調な作業の繰り返しに、「私はもっと、一人のお客様に深く尽くし、価値を感じてもらえる仕事がしたい」と強く思うようになったのです。
一方で、母の影響で知ったのが「ホカンス(ホテル+バカンス)」の魅力でした。
母は看護師として忙しく働いていましたが、年に一度、自分へのご褒美として、家族をラグジュアリーなホテルに連れて行ってくれたのです。
そこで体験した最高級のホスピタリティ。洗練されたスーツ姿、豊かな表情、非日常を感じさせる丁寧なご案内。
「これだ」と思いました。私は、こういう「高い価格帯に見合う、洗練されたおもてなし」を仕事にしたい。そう確信したのです。
「ホスピタリティあふれるサービス業」を軸に就職活動をする中で、はじめはホテルやブライダルなどの企業を目指していたのですが、「冠婚葬祭」というカテゴリで検索すると、どうしても「葬儀社」が引っかかってきます。
そこで私の目に飛び込んできたのがマキノ祭典だったのです。
「最後のおもてなし」というキャッチコピー。そして、説明会での「明るい葬儀屋さん」という雰囲気に、不思議と惹きつけられました。
華やかなウェディングも素敵ですが、お寺にルーツを持つ私にとっては、葬儀や法事の方がずっと身近で、生活に根ざしたものとしてしっくり来たのです。
「お葬式を、ホテルに負けない最高のおもてなしの場にしたい」そんな想いを胸に、私はマキノ祭典の門を叩きました。
24歳の今、現場でご遺族に向き合いながら、あの時お寺やホテルで感じた「尊い時間」を、今度は私自身が作り出すために奮闘しています。
たった一日で届ける、最高級の「おもてなし」
ご遺族にとって、大切な方を亡くされてからお葬式を終えるまでは、数日間という長く、濃密な時間が流れます。
その一方で、私たちマキノ祭典のスタッフは、役割ごとにバトンをつないでお客様をサポートしています。
病院へお迎えにあがるスタッフ、ご家族と一緒に葬儀の設計図を描く「プランナー」、そして、お葬式当日の現場をすべて取り仕切る、私たち「ディレクター」です。
ディレクターがお客様と接する時間は、実はお葬式本番のわずかな時間に過ぎません。プランナーが築いてきた信頼のバトンを受け取り、その限られた時間の中で、いかに「最上級のおもてなし」を形にできるか。そこに、ディレクターとしての真価が問われると考えています。
入社から約2年、200件ほどの現場を担当させていただきましたが、自分の振る舞いが正解なのか、あるいは何かが物足りないのではないか……と、客観的に自分を見つめる怖さは今も消えません。
そんな中、あるお客様からとてもありがたいお言葉をいただきました。
「映画『ほどなくお別れです』に出てくる、目黒蓮さん演じる漆原さんみたいに頼もしいね」
そう言っていただけたのは本当に光栄なのですが、と同時にとても恐れ多いなと感じてしまいました。私はまだまだあんなに完璧なプロではなく、思わず「浜辺美波さんの方ですよ」とお答えしてしまったほどです。
お客様は、こちらが思っている以上に、私の一挙手一投足をじっと見てくださっていることが分かりました。
ご遺族やご寺院様への丁寧なご案内、導師席の椅子を引くタイミング、そして何気ない立ち姿や所作の一つひとつ。
たとえご一緒する時間は限られていても、本番での私の仕事をしっかりと評価していただけること。それは何よりのやりがいであり、同時に「一秒たりとも気を抜けない」と、背筋が伸びる思いがするものです。
おわりに
「お葬式を、最高のおもてなしの場にしたい」
その想いは、今も私の原動力です。かつてお寺の本堂で感じたあの神聖な空気と、ホテルで受けたホスピタリティ。その二つが重なる場所に、私の目指すディレクターの姿があります。
たとえ一日の限られた時間であっても、ご遺族が「あたたかく送り出せた」と心から思えるように。私はこれからも、一挙手一投足に心を込め、故人様やお客様に喜んで頂ける「最後のおもてなし」に努めてまいります。