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位牌の秘密:その知られざる起源と意味 | の葬儀・区民葬・家族葬ならマキノ祭典・株式会社まきの

練馬区の葬儀の豆知識

位牌の秘密:その知られざる起源と意味

2024.10.20

位牌は、故人さまの戒名を刻む木の板で、古くからそこに故人さまの魂が込められている、いわば故人さまそのものと見なされてきました。実際に昔の人は「火事になったら位牌だけは持って逃げろ」と言っていたそうです。

位牌の知られざる歴史とその意味についてご紹介いたします。

位牌はもともと頭蓋骨だった?

日本の文化は古来、中国からの影響を多大に受けています。中国文化のベースには儒教や道教がありますが、現代の日本の仏事や供養も、インド発祥の仏教だけでなく、中国発祥の儒教や道教が色濃く影響しています。

さて、儒教の「儒」とは、かつてのシャーマンのことを指しました。いまのことばでいうと、霊媒師、祈祷師といったところでしょうか。

儒教の国では、先祖や両親をものすごく大事にしますが、死者の魂を現世に呼び戻すことで、彼らは定期的に先祖との一体感を得ていたと言われています。

では、目に見えない死者の魂をどこに戻すのか。魂を下ろす場所(これを「依り代」などと呼びます)として大事にされてきたのが、死者の頭蓋骨だったのです。

頭蓋骨がなくては祖先の魂を呼び戻すことができませんから、古代の中国人は、祖先の頭蓋骨を大切にしてきました。有力者の家では、それらを大切に保管するための「霊廟」を構えたほどだそうです。

魂魄二元論。生命を成す「心」と「体」

「魂魄二元論」とは、人間を「心(魂)」と「体(魄)」の二つの部分から成ると考える考え方です。「魂」は私たちの心や精神を指し、人が亡くなった後もどこかに存在し続けるとされています。一方で「魄」は身体そのものや、体を動かす力を表します。この考えは、生きている間だけでなく、死後の世界の理解にも影響を与えています。

この古い教えが、位牌の形にどのように生きているかというと、昔の人々は亡くなった人の「魄」つまり身体の一部として、頭蓋骨を大切に保管していました。これが時間が経つにつれて、実際の頭蓋骨の代わりに木の板に名前を刻むようになり、それが今の位牌の形になりました。位牌は、故人の心や精神が宿る場所として、そして家族が故人とのつながりを感じる象徴として大切にされています。

ちなみに、位牌の頭部が丸いのは、古代の頭蓋骨の象徴から来ています。これを自分で確認したい場合は、インターネットで位牌の画像を検索してみてください。

現代位牌は素材もデザインも多種多様

最近では、住環境も多様化していることから、お仏壇もモダンでコンパクトなものが人気を博しています。位牌はお仏壇の中で祀られますから、それにともなって位牌も多種多様なものが選ばれています。

従来の位牌は、紫檀や黒檀などの銘木を活かした唐木位牌や、漆塗りや金箔が施された塗位牌が主流でした。しかし最近では、ウォールナットやタモなどの西洋風の位牌、ガラスやクリスタルの位牌、色鮮やかな漆塗りや蒔絵が施された位牌など、多種多様です。

位牌は故人さまの名前を刻むだけでなく、毎日の礼拝の対象となるものです。だからこそ、おうちの方が気に入ったもの、納得したものを選びたいです。そうすることで、日々の祈りや供養により心を込めることができるでしょう。

浄土真宗で位牌が要らないのはなぜ?

浄土真宗は日本で一番信者の多い宗派ですが、浄土真宗では位牌はいらないと言われています。なぜなのでしょうか?

それは、浄土真宗の教えによります。他の宗派では、仏壇の中で仏さまとご先祖さまの両方を供養することを勧めますが、浄土真宗は「本尊である阿弥陀如来さまを拝めばすべての者を救って下さる」と考えているからです。

日本の仏教は、インド、中国のさまざまな思想宗教の影響を受けながら、日本にやってきました。そうした中で、仏壇においても仏教の仏さまと、おうちのご先祖さまの両方をお祀りするようになった経緯があります。

しかし浄土真宗では、手を合わせる対象を阿弥陀如来ただひとつに絞ることを勧めており、そのため、位牌を不要としているのです。

もちろん、ご先祖さまのことは考えなくてもいいと言っているわけではありません。むしろ、ご先祖さまも含めて、阿弥陀如来さまがみんなを大きく包んで救って下さるというわけです。

浄土真宗の仏壇では、位牌に代わって故人さまの名前を書き記す「過去帳」というものを用います。

過去帳は、位牌と異なり、それ自体に魂が宿るとは考えられていません。位牌のように、そこに故人さまがいると考えるのではなく、故人さまはいつも極楽浄土にいて、わたしたちの幸せを願って下さっているのです。

おわりに

位牌は、故人さまの戒名などを彫刻する記録のためのものであるばかりでなく、大切な故人さまを思い出すためであり、故人さまそのものでもあります。時代が変わっても、位牌が私たちにとって意味するものは変わりません。日々、位牌に手を合わせることで、亡くなった人々とのつながりを感じ、その思い出を大切にし続けることができます。