【ブログ・杉浦俊也】「よい葬儀」に欠かせないこと
杉浦俊也です。わたしは葬祭部に所属し、日々お客様のお葬式のお手伝いをしています。また、少し前はアフターサポート事業に配属されていたこともあり、葬儀後の仏事や供養に関するお手伝いもしていました。
そんなわたしが思う、「よい葬儀」「よい供養」について、まじめに綴ろうと思います。しっかりと故人さまを送り出したい方、お葬式で後悔したくない方、どうぞ最後までお読みください。
あの父の死ですら、悲しい
この会社に入社した年、父が息を引き取りました。
わたしは、父とあまり仲がよい方ではありませんでした。高校を卒業したらすぐに家を飛び出しましたし、わたしもここまで好き勝手に生きてきました。
タバコは吸うし、競馬は好きだし、こづかいがなくなったら高校生のわたしの部屋に入ってきて「俊也、少し金を貸してくれ」と言ってしまうような父でした。
前のブログで、わたしの昭和気質について少し書きましたが、父はまさに生粋の昭和人間でした。
でも、そんな父でも、失ってみるとこれが悲しいんですよね。
わたしは母ともそんなに仲がいい方だとは思っていないのですが、父の時にこれだけ悲しいのであれば、母の時はもっともっと悲しむのだろうなと、いまからすでに想像しています。
となれば、親しみを持っていた人、愛する人を失った方の悲しみはいかばかりかと考えると、ちょっといまのわたしの想像には及ばないほどのものなのでしょう。
だからこそご遺族に寄り添うわたしたち葬儀社の責任は軽くないなと、身が引き締まる思いです。
悩むことはやっておこう
葬儀を行うにあたり、喪主さまやご遺族さまは、いろんなことを決めなければなりません。
会場はどこ? プランはどれ? 祭壇は? 棺は?
それぞれお金がかかるものですから、してあげたいものと、してあげたくてもできないものの狭間で悩まれるお気持ちはよく理解できます。
そんな時、わたしは「やるかどうか悩むものは、やって差し上げましょう」とお伝えします。なぜなら、葬儀は一生で一度、最初で最後、二度とやり直しがきかないからです。後悔だけはしてほしくないのです。
「ワンランク上の祭壇にしようか」
「少し高いけど、上等な棺にしようか」
「納棺式やラストメイクをしてあげようか」
などなど、葬儀を終えたあとのお客様からは「やってよかった」という声をいただくことはあっても、「やらなければよかった」という声を聞いたことは一度もありません。
なにもこれは、お葬式だけではないと思います。生きていく中で、日々の暮らしの中で、わたしたちはいろんな選択を問われ、決めなければなりません。そのひとつひとつの決断を、後悔のないものにしてほしいのです。
同じことばのくり返しになってしまいますが、故人さまは二度と帰ってこないお方となってしまったからこそ、その方のお葬式もまた、最初で最後だからです。やり直しは、できないのです。
葬儀費用の「高い」「安い」の考え方
ここまでの話を聞くと
「それは葬儀屋さんのセールストークだろ」
「そうやって、葬儀費用を釣り上げるんだろ」
…と考える人もいるかもしれません。でも、そうではないんです。
100万円を高いと感じるか、安いと感じるかは、人それぞれです。年収500万円の方と、年収1億円の方では、同じ100万円でも、当然感じ方に差があります。
たくさんお金を費やした葬儀の方が満足度が高いのかというと、それも絶対に違います。
大切なのは、「そのお金にどれだけの想いを込められるか」ではないでしょうか。
「50万円しかない。でも、これがわたしたちの精一杯。後悔はない」
「少しだけお金の負担が増えるけど、納棺式をしたおかげで、親戚みんなが喜んでくれた」
このような実感を伴うことが、喪主さまやご家族の納得につながり、よりよい葬儀、よりよい供養につながるのだと思います。
葬儀費用は本当に高額です。わたしも、自分が葬儀を出す側になったらお金の工面をどうしようかと、冷や汗をかいてしまいます。
お葬式を行うにはそれだけの人と物が動くので、やはり、費用もそれなりの額になってしまいます。
上を見たらキリがない。でも安く済ませると満足感が得られない。こうやって考えてみると、お葬式の費用って、自分自身の心と向きあうことそのものではないかとすら思います。
葬儀後のお位牌を販売したことがありますが、3万円のものを選ぶ方もいれば、数十万円のお位牌を選ぶ方もいます。どちらがいい位牌ということはありません。それぞれが心を込めて、そのお位牌に手を合わせることに意味がありますし、自分が選んだ商品、支払った費用に後悔なく、満足できることが大切です。
どこに後悔し、どこに満足するのか。そのポイントは、お客様ご自身にしか分かりません。だからこそ、葬儀や供養に臨む時は、ご自身の心に向き合ってほしいと思います。
費用のかかるお葬式、費用を抑えたお葬式、そのいずれであっても、わたしたちは全力でお手伝いいたします。大切なのは金額の方ではなく、お客様の納得ですから。
今日も、お客様の声に耳を傾け、想いに応えられるご提案、お手伝いをいたします。