死亡してから葬儀まで、数日ほど時間が空いてしまいますが、その間、ご遺体の痛みは少しずつ進行していきます。この進行を遅らせるために使われているのがドライアイスです。ご遺体の状態を可能な限り生前のように保つには、ドライアイスが不可欠なのです。
「ドライアイスはどのように当てるの?」
「費用はいくらかかるの?」
「葬儀まで日が空いてしまう。どれくらいの日数保てるの?」
などの疑問をお持ちの方に、ドライアイスによるご遺体保全について解説いたします。
また、昨今よく耳にするエンバーミングとドライアイスの違いについても触れていますので、ご遺体の保全について詳しく知りたい方はどうぞ最後まで読み進めてみてください。
目次
ドライアイスによるご遺体保存とは
まずは、死亡後のご遺体に、どうしてドライアイスの手当が必要なのかを解説いたします。
死亡後のご遺体の時間的推移
心拍が停止し、血流や細胞活動が止まることで、ご遺体はゆっくりと腐敗や変質を進めます。
基本的には、体温が低下し(死亡直後)死後硬直を起こし(約2時間後)、そしてこの硬直が解け始めたあたりから、死臭を放ち、腐敗が始まると言われています(約48時間後)。
このようなご遺体の変化は、ご遺族にとって大変辛いものです。葬儀を終えるまでの間、生前の姿に近い形で保つために用いられているのが、ドライアイスなのです。
葬儀まで毎日交換が基本
ドライアイスは、基本的に毎日交換します。主に、胸、おなか、首回りなどにドライアイスを当てて、ご遺体を冷却します。
納棺で保全効果を高める
死亡後のご遺体は、葬儀までの間、自宅か冷蔵庫施設のいずれかでご安置しますが(くわしくは次章で解説)、いずれにせよ、事前に納棺してからドライアイスを当てることで、保全効果がアップします。棺の内部は密閉空間で、棺自体が冷蔵庫の役割を果たすからです。
2つの安置方法とドライアイスの当て方
葬儀までの間、ご遺体のご安置方法は主に2つあります。それぞれの方法を詳しく解説しながら、ドライアイスの当て方を解説いたします。
自宅安置
ご自宅にご安置する場合は、故人さまを布団に寝かせ、故人さまの周囲にドライアイスを配置し、その上から掛布団を掛けます。
ドライアイスは主にご遺体の首の下、首回り、胸やおなか、脇腹などにしっかりと当てて冷却します。葬儀までの間、スタッフが毎日自宅にやってきて、ご遺体の状況を確認し、ドライアイスを交換します。
部屋の中を冷房で冷やしておくことで、保冷効果が高まります。また、前の章でも触れましたが、事前に納棺しておくことも、保冷効果はより高まり、ご遺体の保存に有効です。ご遺体を棺に納める「納棺の儀」は、通常通夜当日に行うことが多いのですが、ご遺体保全の目的で、安置時に棺に納めるケースもあります。
冷蔵安置
さまざまな事情で、ご遺体を自宅に安置できないという方は、葬儀社が保有する安置施設を利用します。
マキノ祭典にはご遺体専用の冷蔵施設がありますので、安心してご遺体をお預けいただけます。
冷蔵安置の場合は、ご遺体の状況を見ながらドライアイスの交換を判断します。毎日の交換が理想ですが、使用した分費用がかかってしまいますので、スタッフが判断し、ご遺体の保全を保ちつつ、お客様のご負担が少しでも軽減するよう努めているのです。
また、葬儀までの日数が短い場合は、冷蔵庫を用いないこともあります。ご遺体を棺に納め、ドライアイスをしっかり当てることで、十分にご遺体の状態を維持できます。
ドライアイスの費用はどれくらい?
ドライアイスにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
マキノ祭典の場合、1回10㎏の使用で1万円(税別)です。これを毎日交換した場合、その日数分の費用がかかります。
また、葬儀社がご遺体をお預かりする場合、ドライアイスの費用とは別に保管施設の利用料が発生します。マキノ祭典の場合、冷蔵保管で1日当たり9千円、冷蔵施設を用いない一般保管で1日当たり4千円です。
遺体保存技術「エンバーミング」とドライアイスの違い
昨今よく耳にする「エンバーミング」。ご遺体の腐敗を防いで、生前の姿を長く保存する特殊技術です。
エンバーミングとは?
エンバーミングとは、遺体の長期保存を可能にする技術のことで、特に19世紀のアメリカで発展しました。ご遺体の一部を切開し、体内の血液を排出しながら、特殊な防腐剤を注入することにより、腐敗の進行を極度に抑えることができます。エンバーミングに加えてラストメイクなどを施すことにより、まるで生前の姿のような安らかな表情のまま、葬儀を迎えられます。
ご遺体の保存期間は何日?
エンバーミングによる保存期間は、一般的に最長で50日間ですが、環境やご遺体の状態による異なることがあります。
値段はいくら?
エンバーミングの値段は、使用する防腐剤や技術者の技術レベルによって異なりますが、一般的な相場は15万円~20万円だと言われています。
ドライアイスとどちらがいい?
この記事が書かれている2024年5月現在、エンバーミングを利用される方はごく一部です。多くの方が、エンバーミングをせずに、より手軽でコストが低いドライアイスを使用し、葬儀の日を迎えます。エンバーミングに必要な皮膚の切開に抵抗があるという人も少なくありません。
もしも社葬などの大規模葬儀を検討されており、葬儀までの日数を数週間、あるいは1か月近く空いてしまう場合は、エンバーミングも有効でしょう。
ご遺体の保全についてのご相談はマキノ祭典へ
いかがでしたでしょうか? 葬儀までの間、ご遺体を保全するためのドライアイスの使い方についてご理解いただけましたでしょうか。
安置場所によって、ドライアイスの当て方や使用頻度が異なり、それに応じて費用も変わります。ご遺体の状況や葬儀までの日数などを考慮し、事前の納棺やエンバーミングをご提案することもお分かりいただけたのではないでしょうか。
ドライアイスについて、ご遺体の保全やご安置についてなど、分からないことがございましたら、どうぞお気軽にマキノ祭典にご相談下さい。