七夕とお盆の意外な関係
気がつけば、もう七月ですね。
東京にお住まいの皆さまにとっては。
いよいよ「お盆の月」が始まります。
お盆というと、一般的には「7月13日」の迎え火から始まるイメージがありますよね。
でも実は、昔の人は。
7月に入ったその瞬間から、すでにお盆の準備を始めていたのをご存知でしょうか。
今日は、七夕とお盆の、ちょっと意外なつながりについてお話しします。
7月1日、地獄の窯の蓋が開く
昔から、7月1日のことを「釜蓋朔日(かまぶたついたち)」と呼びます。
この日は、あの世(地獄)の窯の蓋が開く日、とされているんです。
蓋が開く、というと、なんだか少し怖いお話に聞こえるかもしれませんね。
でも、そうではないんですよ。
これは、「ご先祖さまたちが、こちら側の世界へ向けて出発する日」という意味なんです。
あの世から、私たちの待つ家を目指して、長い旅を始められる日。
だからこそ、昔の人たちは。
「ご先祖さまたちが、こっちに向かって歩き出したぞ」
「そろそろ私たちもお迎えする準備を始めよう」
と、7月に入るとソワソワしながら、お家やお庭や、田んぼのあぜ道などの掃除を始めていたそうです。
お盆は、13日から始まるのではなくて
もう、7月に入ったその日から、始まっているのですね。
七夕は、精霊棚(盆棚)を準備する日
そうして一週間が経った、7月7日。
そう、皆さまよくご存知の「七夕」です。
現代では、織姫さまと彦星さまが会える日、としてロマンチックにお祝いされますが、
実は、お盆の歴史から見ると
7月7日は、「精霊棚(盆棚)」を準備する日でした。
精霊棚とは、お盆にお迎えしたご先祖さまに滞在していただく、お盆の期間だけ飾る特別なお祭りの棚のことです。
五色の幡をたらしたり、
キュウリやナスをお供えしたり、
位牌をずらっと並べたり、
こうした光景をテレビなどで見たことありませんか?
では、なぜ「七の夕べ」と書いて、「たなばた」と読むのでしょうか。
これには、古い歴史があります。
昔は、お盆に帰ってくるご先祖さまをお迎えするために
棚織(たなばた)という布を織るための機織り機(はたおりき)を使って、ご先祖さまが着るための衣服や、棚に飾る美しい旗を織る神事がありました。
機織り機って、『鶴の恩返し』で、おじいさんに助けられた鶴が「ガッタンゴットン」と糸を編む、あの機械です。
「ご先祖さまをお迎えするための棚」を拵えたのが7月7日の夕方。
「機を織ってご先祖さまに祈りを捧げた」のも7月7日の夕方。
この2つの言葉が重なり合って、やがて「たなばた」と呼ばれるようになったと言われています。
つまり、七夕という行事は。
もともとお盆の大切なご先祖さまを迎えるための、大忙しの準備の日だったのです。
ちなみに、七夕の短冊は5色ありますよね。
五色とは、「青・赤・黄・ 白・黒(紫)」で、
古代中国の陰陽五行説に基づいた色。
精霊棚に飾られるのも5色の幡。
こうしたところにも、七夕とお盆の関係性を見て取ることができます。
どちらも「年に一度、大切な人に会える日」
こうして紐解いていくと、七夕とお盆には、ある共通のテーマがあることに気づきます。
それはどちらも、「年に一度、大切な人に会える日」だということです。
天の川を渡って、やっと巡り会える織姫と彦星のように。
お盆もまた、あの世から長い旅をして。
大好きな家族に会うために、ご先祖さまが帰ってきてくれる日です。
「逢いたい人に、やっと会える」
どこか切なくて、でもうれしくて、安心する。
七夕とお盆の根底には、共通して流れているのですね。
おわりに
今年の7月7日。
もし街の中で、笹飾りや短冊を見かけたら。
「ああ、ご先祖さまが、もうこっちに向かって歩いているんだな」
と、少しだけお盆のことを思い出してみてください。
お盆は、形式的な義務ではありません。
「よく帰ってきたね」「会いたかったよ」と、大切な人と心の中で再会するための
とてもあたたかい、約束の日なのです。
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。
あなたの七夕が、お盆が、ご先祖さまとのすてきな日々となりますように。