【ブログ・髙橋亮】「できません」なんて、絶対に言わない
こんにちは。マキノ祭典の髙橋です。
前回のブログ記事では、美容師から葬儀社への転職についてお話ししました。
その中で、美容師と葬儀社のとっても大切な共通点として、「相手の話を徹底的に聴いて形にする」ということに触れました。
ところが、言うのは簡単でも、徹底的に聴いた内容を「形にする」というのが、実はとってもむずかしいのです。
今日は、それを痛感させられたお葬式の現場について綴らせていただきます。
昭和の風景がよみがえる、令和の大型自宅葬
みなさんは「自宅葬」と聞くと、どのようなお葬式を思い浮かべますか?
最近の自宅葬は、住み慣れたわが家で、ご家族やご親族だけでこじんまりとお別れをし、そこから火葬場へと出棺する「家族葬」の延長線上にあるスタイルが主流です。
ところが、つい先日私が担当させていただいたのは、それとは全く異なる、古き良き昭和の時代を彷彿とさせる「大型の自宅葬」でした。
故人さまは、地元で長く農業を営まれてきたお父さま。
葬儀の打ち合わせ、いわばカウンセリングの時間です。私はご遺族の想いに耳を傾けました。
「農家であることを誇りに思っていた父を、この自宅から見送りたい」
ご自宅は古き良き農村の日本建築。その隣には住宅街に囲まれながらもいまも広がる畑の風景。
参列者にもこの畑を見てもらい、わが家から父を送り出したい。喪主を務められたご長男のその強いご希望から、ご自宅をお葬式の式場とすることが決まりました。
近年の葬儀のほとんどは専門のセレモニーホールで行われ、昭和の時代までは当たり前だった、自宅に何十人、何百人もの会葬者を招くような大型の自宅葬は、今ではほとんど見られません。
このような自宅葬は、マキノ祭典でも年に1度あるかないかという非常に珍しいケースです。
もちろん私にとっても、これほど大きな規模の自宅葬を担当するのははじめての経験でした。「上手にできるかな」という不安を抱きつつ、「プランナーとしての腕の見せ所だ」と、身が引き締まる思いでした。
お客様の奥にある想いをチームでカタチにする
打合せの中で、ご家族からはたくさんの、そして非常に具体的なご要望が溢れ出てきました。
「農家として生きてきた父の姿を、最後に見てもらいたいんです。だから、祭壇にはお花だけでなく、父が丹精込めて畑で育てた野菜を使ってほしい」
「このトラクターを敷地内に飾りたい。いつか乗りたいと言って購入したものの、病気のために一度も乗ることが叶わなかったものなんです」
このようなご希望ははじめてだったので、いったん答えを保留にして、すぐに会社の先輩に相談しました。すると、野菜祭壇も、トラクターの展示も、誰も経験がなかったのです。
しかし、私は元美容師です。「やったことがないから」という理由で、「できません」とお断りする発想は1ミリもありませんでした。
美容師時代も、お客様の無理難題に対して、その奥にある「きれいになりたい」「新しい自分に変わりたい」といった本当の想いを汲み取り、プロとして最善の提案をして、形にしてきたという自負があります。葬儀だって、同じじゃないですか。
そこから、マキノ祭典のチーム力が爆発します。
特に、採れたての野菜で祭壇を作るというのは前例がなく、花祭壇を手掛けるフラワーデザイナーと何度も何度も膝を突き合わせて打合せを重ねて模索しました。
物理的にできなくはないのですが、やっぱり見た目の印象で、花祭壇の美しさとの調和はむずかしいという結論となり、花祭壇の手前にたくさんの野菜を盛り付けることを提案しました。
お客様がご希望した形にはなりませんでしたが、プロが真剣に時間をかけて議論を重ねた最適解でしたから、その姿勢に納得していただけました。
また、参列者の導線の中にガレージを組み込むことで、すべての方にトラクターを見ていただくこともできました。
限られたご自宅の敷地の中に、約150名の方がお見えになることが予想されました。通常のホールとは違い、住宅街にあるご自宅では、人の流れをどうコントロールするかが命となります。
受付テントの設営、焼香や出棺の導線、仏間の幕張、祭壇の設営、親族や僧侶の控えの間など、考えること、すべきことは多岐に渡り、実に大変な、大変な現場でした。
経験不足の私ひとりではきっと何もできませんでしたが、そこは練馬区で約60年の実績を誇るマキノ祭典のチーム力で対応できたと思います。
経験豊富な先輩に何度も何度も相談しましたし、通夜・葬儀当日は大勢の社員がスタッフとして現場に臨み、牧野社長もかけつけてくれました。
想いが形になった瞬間の喜び
お葬式の当日、住み慣れたわが家は、見事に「お父さまの生きた証」へと生まれ変わりました。
お部屋に飾られた鮮やかな花祭壇。その前に並べられた採れたての野菜たち。それらを彩るオシャレな花瓶に活けられたのは、これも畑で摘まれたばかりのニンジンやゴボウの花。
門前に置かれた「矢来垣」の足元にも、採れたてのレタスなどの葉物野菜をずらりと並べました。
ピカピカの大きなトラクターを見ながら、故人さまを偲び、生前の思い出話を交わし合う参列者のみなさんの姿は、ご家族をあたたかくいたわっているようでした。
お葬式を終えたあとに、ご長男からいただいたおことばは、いまも私の宝物です。
「マキノさん、私たちの想いをここまで形にしてくれて、本当に、本当にありがとう。父も絶対に喜んでいます」
お客様の「こうしてあげたい」という強い想いに、会社が一丸となって全力で応える。これこそが、私がマキノ祭典へ転職して求めていた、究極の対人サービスの姿でした。
どんなにむずかしいご要望であっても、決して型にはまることなく、ご家族の想いを最後まで形にするサポーターであり続けたいと思います。